フェリックス・ヘス
🐸It's in the air (vanes)
和紙、バルサ棒、そして鉛のカウンターウェイトのヤジロベエが均衡を保ちながら床の上に複数展開されている。これらはこの部屋に発生する床を流れる低い気流に鋭敏に左右される状態にあり、鑑賞者が部屋に入った時に起こる微かな変化すら捉える。その優雅に揺らぐ様が繊細で美しい作品である。傍に座り込むだけで体温と部屋温度の差により、鑑賞者の位置にゆっくり向かう様や、日差しの変化に左右される様は、彼が設営時に、この作品がこれまでで最も敏感な状態でセットアップ出来た。という言葉に集約されていると感じる。この繊細さを保つために、部屋内には熱源となる照明を完全に省いている。十六畳の広間のうち周囲を観賞者が回り込めるように七条分の畳を黒色の床に換え86個敷き詰めた。*関西初展示
🐸It's in the air (cracklers)
空間内の微細な空気圧変化に呼応して石とバルサに挟まれたピエゾ素子が鳴るシンプルな作品。気圧の変化は超低周波でありセンサとして小型の安価なマイクを用いた電子回路で制作された作品。人の歩くリズム、そして戸の開け閉めや移動など、仕切りの少ない日本家屋であり、外界とも近い瑞雲庵全体で起こる全ての現象を静かに捉えている。
🐸関連資料展示
著作、これまでに参加した展覧会カタログやリリース音源、ポスター、交流の深いアーティスト鈴木昭男との友情の品々など(リスト)
大城真
🌊waves
人の耳では聴くことができない、展示空間内で起こる微細な気圧変動を含む可聴域外の低周波を水面の波に変換し、環境に偏在している空気の変動を可視化し続ける作品。空間内に2本の高感度マイクが設置され、中央に透明の液体に浸された振動体が設置されている。フェリックス・ヘスへのオマージュとして大城は初めてインスタレーションにセンシング要素を取り入れた。波を気体から液体へ伝播させることで、波の体験方法を自体を変換させ、普段意識できない現象への気付きを深める様に仕向けられている。特に水面の振動がぴたりと止む瞬間がまれに見受けられるが、ゆるやかに繋がっている展示空間全体で圧の変化のない瞬間まで可視化し、人間の皮膚感覚を超えた知覚を与える作品である。
2018年 新作
斉田一樹+三原聡一郎
⚡️moids ∞
創発をテーマに、今ここでしか生成できない響きを追求した、テクノロジーによるもう一つの自然環境を追究している。2004年より継続的に発表され、、音響の入出力機能を有する同一機能の電子デバイスが群として空間にちりばめられ、環境音、そしてデバイス群自体の発する音響の連鎖反応が、非常に複雑な解像度を持った音響環境として自律的に生成されてきた。本展覧会では、電子を扱う芸術としての最もミニマルな仕様を追求し、無限の概念まで飛躍させるプロジェクト最終版 ver. ∞ として発表。2018年 新作